2014年5月7日水曜日

「あたりまえだけどなかなかできない 教え方のルール」で学んだ教え方の原理原則の考え方

あたりまえだけどなかなかできない 教え方のルール (アスカビジネス) 読了。社外向けのセミナーやトレーニングとか、社内の新しいメンバーの教育とかで役に立ちそうな本がないかなーと思っていたところに本屋で目にして読んでみた。

■本の概要
タイトル通り、「教え方」についてポイントをまとめている本。このシリーズの他の本と同じく、ポイントが101あって、大体見開き2pから4pくらいでまとまっていて読みやすい。

本書の冒頭にも書いてあるけど、よくよく考えるけど「教え方」って体系的に学んだことってあまりない気がする。話し方とかプレゼンの仕方とかそういう観点では通じるテーマはあるけど、「教え方」という観点から改めてまとめてあるので新鮮で参考になった。

■教え方の原理原則
特に意識したいなと思ったのは、以下の原理原則の話。著者は、迷ったときは以下の原則に立ち返るという。
1.「相手は何を望んでいるか?」を考慮する
2.「1 何のため?→2 何を?→3 どのように?」という順番で教え方をシンプルに考える

これだけ読むとフーンっていう感じもするけど、確かになと思ったのが次のポイント。

「多くの人は、「何を、どのように教えるか?」ということを考えていますが、それでは永遠に答えは出ません。なぜなら、そこには教わる側の相手のニーズと、教えることの目的が欠落しているからです。旅行に喩えると、旅行に行く方のニーズ(例えばヨーロッパに1週間旅行に行きたい)と、目的地(最初はパリに3日間)が決まっていないのに、何に乗ってどのように行けばいいのかを決めようがないのと同じです」

例えば1対多でプレゼンで何かを教えるとして、プレゼンに何を盛り込むかとかどうプレゼンをするかとかそういうところに目がいきがちやけど、何を望まれていて、何のためにやるのかということがスタート地点ということ。これは確かにやることに目が向いちゃってて見落としがちな気がするので気をつけたい…と思った。

■トンカツ弁当を幕の内弁当にするな
あともう1つ印象に残ったのが「トンカツ弁当を幕の内弁当にするな」(p58)というメッセージ。これは要するに内容をしぼりなさいということ。1000円のトンカツ弁当に同じ予算で、鮭の切り身も入れたい、海老フライも入れたいとか言い出すと、予算が足りなくなるし、無理矢理詰め込んでもそれぞれのクオリティが下がる。それよりは選び抜いた内容をしっかり提供した方が良いという話。

関連して、100の内容を教えて30%理解した場合と、80の内容に絞って70%理解した場合では、残る内容が前者は30、後者は56で後者の方が多い。その意味でも詰め込みすぎて消化不良になるよりは絞った方が効果は高いということで確かになと思った。


■食べたことがない人に味は分からないのでおすすめプランを提示しよう
あと比喩として面白かったのが、教える際に教わる相手に何を教えてほしいかを尋ねる方法についての話。この方法自体は有効だが、教わる側が教わる内容についてあまりよく分かってない場合は明確な回答が帰ってこないことが多い。そこでまずは相手の自覚症状や悩みを聞いた上で処方箋を提示するという流れが良くて、これは医師の問診と一緒ということ。

また、処方箋については自分の経験に照らし合わせておすすめの内容を提示するのが良いということ。これを料理に例えている。

「ブラジル料理を食べたことがない人に「ブラジル料理は何が好き?」と尋ねても、答えられません。だから、肉が好きとか相手の好みを聞いて、それに合ったものを薦めましょう」

これもなるほどと思った。営業とかサポートの場面でも有効やなーと思った。原則としては相手は何を望んでいるのか、何のためにやるのかということがあり、それに対してこちらから具体的に何をどのようにやっていくか(教えていくか)を提案する。これを考え方としておさえておくだけでもだいぶ違うかもなーと思った一冊やった。