2014年7月13日日曜日

「認定こども園の時代 子どもの未来のための新制度理解とこれからの戦略」を読んでこれからの保育について考える

認定こども園の時代: 子どもの未来のための新制度理解とこれからの戦略

平成27年の春にスタート予定の「子ども・子育て支援新制度」について解説した本。著者は、政府の委員会に携わっている方で、おそらくこれらの制度設計にも関係している方。

先日保育園で、「子ども・子育て支援新制度」が始まりますみたいな案内が配布されたけど、イマイチ具体的にどんな話なのか理解できとらんかったのが、この本を読んでおぼろげながら分かってきた。

制度の説明って結構作文言葉が並んでてイマイチ何を言いたいのかよく分からんこともあるけど、この本の内容は結構読みやすかった。その理由の1つに、今の課題やそれに向けてどう考えてどう取り組もうとしているのかという背景をおさえて説明してあることがあると思う。

具体的にいうと、平成24年月に成立した「子ども・子育て支援法」とその関連法律にもとづいて、消費税の増税分から7000億円の財源があてられて各種施策が進められるということ。

その1つがいろいろ話題にもなる「認定こども園」。この認定こども園自体も、イマイチ何がどうなるのかよく分かってなかったけど、それが目指そうとしているところや、位置づけとかも少しつかめた。

この点に関して、この本の解説では、認定こども園になると何が変わって何が良いのかということが結構具体的に書いてあって参考になった。例えば、幼稚園については、そのまま幼稚園のままでいるか、認定こども園になるかという選択肢があるけど、そのメリット、デメリットも整理されている。

ある程度保育所に相当する子どもが多いなら、幼稚園型よりも幼保連携型になった方が補助金が増えるのでメリットがある。ただし、多少の預りだったら一時預かり制度を使うという形でそのまま幼稚園でいることもできる。逆に、デメリットとしては、保育所を兼ねることになるので給食が必要となるので園内に調理設備を用意する義務が出てきてそれが負担となることがある。このあたりを申請度で補助を出していきますよという狙いもあるということ。

保育所については、「保育所が認定こども園になることに何か得があるかといえば、直接的にはほとんどメリットがありません」(p13)と明確に書いていてちょっと興味深かった。これは保育所が認定こども園になることで補助金はほとんど増えないからということ。ただし、まったく意味がないかというとそういうこともなく、融通が効くというメリットもあるということ。

どういうことかというと、保育所はあくまで就労などの理由で保育に欠ける子どもの保護者のための施設なので就労等をしておらず保育に欠ける理由に該当しない場合に子どもを預かれない。しかし、地域によっては保育所しかない場合、就労していない保護者の家庭からも預かりのニーズがあったりする。また、保護者の側の事情も変化するので、来年1年間だけは家にいたいというようなニーズも出てきたりする。こういう時に、保育所だと規定上対応しづらいが、認定こども園だと柔軟に対応できるということ。

保育所が認定こども園になるもう1つのメリットとして教育機能があげられている。これは現状の保育所の課題とも連動している話。幼稚園の場合、法律上も教育施設として規定されているため、初任者研修など、教育に関する研修が義務付けられている。時間の使い方としても、幼稚園の場合は8時間勤務のうち、子どもたちと接しているのは4-5時間で、残りの時間は翌日の教材の準備や記録の整理、勉強会、研修受講など、教育に関する活動に充てることができるようになっている。このあたりは小学校の教諭と同じということ。

一方、保育所の保育士の場合、8時間がまるまる保育時間として設定されているため、ずっと子どもの世話だけで勤務時間が終わる。勉強や記録、教材準備、打ち合わせなどの時間は保障されていないため、なんとかがんばって適当にどこかの時間で書いてくださいということになっているということ。

このあたりの課題が、保育所が認定こども園になると改善していけるのではという話が述べられている。もう少し述べると、保育所が認定こども園になると幼稚園の機能を兼ねることになる、すなわち、保育士が学校の教諭を兼ねることになるので、教育や研修の充実につながる可能性があるということ。

もちろん、これは一概に言えない部分もあるんやろうけど、こういうねらいのもとに整理されてきているんやなーということがわかって個人的には収穫があった。

その他、印象に残った話が地域型保育における「撤退」の話。どういうことかというと、新しい制度では地域型保育として、小規模保育や家庭的保育という形で比較的小規模で要件が緩やかな形で保育事業を営むことができるようになった。これは要件が緩やかなだけあって比較的作りやすい。ではそれの何が良いかというと、以下。

「作りやすいというのは、いろいろな場所で作れる。お子さんの家庭の近くで作れるということがひとつと、もうひとつは、人口の動態の変化に応じて撤退しやすいということがあるんです。この撤退しやすいという条件は、これからの日本の社会で非常に重要になっていきます」(p18)

確かに、今は待機児童がたくさんいるため保育施設の増設がかなり必要になってるけど、基本的には子どもが減っていっている中でその先にどうしていくのかということも見据えていた方が良いとは思う(子どもが減ってるのに待機児童問題がなかなか解決しないのはなぜなのかっていうのは別途気になる課題ではあるけど…)。そういう意味で柔軟に動きやすい形の仕組みっていうのは大事やなーと思った。

もう1つ別の話で印象に残ったのが広島県の話。広島県は男性の育休取得に特化した取り組みで、平性19年度には全国平均以下の0.6%だった取得率が、平性24年度には7.2%にも達しているということ。男性の家事・育児時間も平性18年度から23年度にかけて、19分から53分と大きく伸びたということ。具体的な取り組みとしては、男性の育休取得を促進することを宣言した企業を登録して公表したり、中小企業等で男性が1週間以上の育休を取得したら奨励金を取得したり、知事自らが育休を取得したり、メディアに周知したりしたということ。こういう動きもあるんやなー。

政府系の本かな~と思ってつまらんやろかと思ってはいたけど、先入観やった。これから自分も直接的に関わるという意味でも参考になるし、これからの日本の社会における保育のあり方を考えていく上でもいろいろ視点が得られる一冊やった。

2014年7月10日木曜日

イライラを整理するきっかけになる「イライラしがちなあなたを変える本」

イライラしがちなあなたを変える本 (中経出版)

どっかの書評かなにかで紹介されてたから読んだんやけど、何に書いてあったか忘れてしまった…よく見たら以前同じ著者の方のアンガーマネジメントに関する本を読んだことがあって大体似たような内容ではあった。けど、それはそれで良い復習になった。

怒りは脊髄反射のように起こるのではなく、怒りを感じるまでには段階があるということ。それが以下の3段階。



1)出来事が起こる
 何かの出来事を見たり、誰かが何かを言うのを聞いたりします

2)出来事の認識・意味づけ
 その出来事、言動などがどういうことなのかを考え、それを意味づけします

3)怒りの発生
 意味づけをした結果、自分が「受け入れられない」「許せない」と思うと、怒りが生じます
(p31)

このあたりはこの前まで読んでた「嫌われる勇気」と似たような話も多かった。対人関係の見方は相手ではなく自分の意味づけによって決まるとか、他者の課題は他者の課題であって変えられないものは割り切って分離すべきとか。

「あなたが「こうあるべき」と考えていたことが、「そうなっていない」からイライラするのです。
 イライラするかどうかを決めるのは「自分」なのです」(p38)

その上で、自分が何にイライラしがち、怒りがちなのかを把握することが大事で、かつ、どのくらいの怒りを感じるのかということも記録することで客観視できるようになるということ。怒りのスケールを以下の3つに分類して整理するというのは良いかもなと思った。

1)許せる怒り
2)場合によっては許せる怒り
3)絶対に許せない怒り
(p65)

よくよく考えるとほとんど1)とか2)に入ってることって多い気がする…このへんも整理できるともっと良いかもとも思った。

なお、一番最後に書いてあったのが「イライラしがちな自分も受け入れる」(p223)という話やった。これを横から見てた奥さんが、最後に結局それか!みたいなツッコミしてたけど、まあ確かに(笑)

でも、実はこれがベースな気がする。ミスの話と一緒で、完璧にしようと思ったら余計難しくなるので、ある程度許容しつつ良い方向に向けて少しずつでも改善していくというのが良いのかもなーと思った。

頭で理解はできるんやけど、なかなか実践するのは難しいなあ…ということが改めて分かった感じやけど、それでもちょっとずつでも取り入れていければまた人生楽しくできるやろなーと思った一冊やった。