2016年2月27日土曜日

「「弱いリーダー」が会社を救う」と考えてみることでいろいろヒントが得られるかも?

「弱いリーダー」が会社を救う  

「リーダー」というと、決断力や洞察力があり、論理的指示が明快で積極的に人を引っ張っていくような「強いリーダー」像がイメージされることが多い。一方で一見頼りないように見えたりぼんやりしているような人でも発揮しているリーダーシップもある。

キーワードでいうと、「調和」「柔軟」「静か」といったところで東洋思想で語られるリーダー像にも通じる。こうした「弱いリーダー」にも魅力がある、というかむしろ、今の時代はそうしたリーダー像こそ求められているのではないかとうのが本書の考え方。

「「自分は人をぐいぐい引っ張るタイプじゃないから、リーダーなんて無理」と考える人がいたならば、むしろこれから求められるリーダーの資質を持ち合わせた大切な人材なのかもしれません」(p7)

「強いリーダー」と「弱いリーダー」の対比は以下のように整理されている(p149)。

■強いリーダー
 目的:競争に勝つ
 信条:行動力、強い影響力を持つ
 コミュニケーション:自らの発信が中心
 マネジメントスタイル:指示する、徹底させる
 判断基準:合理性、効率性
 意思決定:迅速に決断する
 部下育成の方針:機動性を高める、段階的な経験をさせる

■弱いリーダー
 目的:できるだけ戦いを避ける
 信条:柔軟性、自分と向き合う
 コミュニケーション:他者からの受信が中心
 マネジメントスタイル:問いかける、押しつけない
 判断基準:思い、理想の姿
 意思決定:周囲に意見を促す、すぐ決めない
 部下育成の方針:発想を豊かにする、積極的に任せる

なぜ「強いリーダー」では限界があるかというと、論理性や効率性が有効ではない場面があるから。それは変化が必要な時。論理的な帰結では想定できていないことが起きる場面や、効率だけを求めていると方向性を誤る場面も出てきたりする。そういう時に必要なのは、人を引っ張っていくというよりはまずは一旦立ち止まって足元を見つめ直す力だったりもする。

「自分たちの「思考の枠」があることを認識しつつ、枠外の「意外性」を意識する必要性はますます高まっている」(p35)

また、効率だけを求めていくと創造につながりづらくなったりする。

「私たちが、仕事をしているとき一見ムダに思えるようなことが実はとても大切だということがあります」(p62)

これはその通りやと思いつつ、一方で難しいなーと思うのは、一見ムダのように見えて後々つながってくるものと、ムダにしかつながりづらくてやはり削った方が良さそうなものとが両方入り混じってたりするので、そのへんは見極めや切り分けができるのかどうかということ。このへんはなかなか難しい。

なので難しい前提でやっぱりムダでしかないムダも許容するということなのかなと思いつつ、それだけやってたら次第に破綻するしなーとも思いつつ。やっぱり難しい(^^;)ただ、本書にあった「ムダ。それは、人を育てる肥料」(p72)というのはいい言葉やなーと思った。

上記の他、著者の持論として述べられている以下の言葉が印象に残った。本書の中ではこの話はあまり書かれてなかったけど、今後もう少し深く調べてみたいと思った内容。

「組織運営をより円滑に行いながら人材を育成・開発するためには、5人程度の小人数チームを中心に組織を回していくことが最も効果的である」(p3)

全体的には「強いリーダー」に対するアンチテーゼとしての「弱いリーダー」の話が展開されているけど、「強いリーダー」のスタイルが必要だったり有効な場面も依然としてあるような気もするので、そのへんは使い分けなのかなー、でも同じ人で2つのスタイルを使い分けるのはちょっと難易度高いよなーということも思ったりしつつ、そのへんも含めていろんなヒントが得られた一冊やった。


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