2014年12月26日金曜日

「仕事に差がつくビジネス電話の教科書」でなぜ電話に3コール以内に出る必要があるのかとか考え方がわかる

 「仕事に差がつくビジネス電話の教科書」読了。図書館で目にして、そういえば仕事の電話対応ってなんとなく周りを見てとか、ウェブのhow to的な情報で見たり聞きかじったりはしているけど、しっかり学んだり考えたことないなーと思って手に取ってみた。

電話はなぜ3コール以内にとらなければならないかとか書いてあって、そのへんの気になるところをさらっと読み流すくらいかなーと思ってたけど予想以上にしっかりした内容で面白かったし、実務的にかなり役立ちそうな内容やった。

著者は、コールセンターを運営し、電話のプロの育成や指導を25年間行ってきた会社を創業された方。電話応対に悩みをもつ人のための「電話対応クリニック」のようなものを作りたいと思っており、その試みの第一歩として教科書のような本としてこの本をまとめたということ。著者の試行錯誤や経験の蓄積を通じたノウハウの中から、厳選した内容という。

構成としては、ビジネス電話の基本ルール的な話から、特に電話対応が重要になってくる営業の売り込むための電話、クレーム対応の電話への対応法、そしてさらに上達するために心がけることという形でまとめられている。

内容が具体的で文章も読みやすい。かつ、ルールについてもこうすべきだと頭から決めつけで書いてあるのではなく、経験やデータから、こういう背景や理由があってこうした方が良いという形で整理されている。もちろん著者なりの経験や考えがベースやけど、それが絶対の正解という感じではなく、背景や理由をもとに自分なりにとらえていきやすい。

個々のルールや指針についてもかなり具体的。例えばこんな感じ。

・電話対応の初心者はとりあえず「確認してご連絡します」のフレーズを最低限覚える

・ネガティブなことがあってもいい話で締めくくる。
 例:このカメラは画質は良いが高額です、ではなく、このカメラは高額ですが画質がいいです
   ありません、ではなく、◯◯ならあります
   間に合いません、ではなく、◯◯までなら間に合います(p103)

・かける場合は月曜日の午前は意外にキーパーソンがつかまりやすく、水曜や木曜はフラットな気持ちで冷静に聞いてもらえ、金曜日の午後は気持ち的に週の終わりで忙しいので避けた方がいい

・クレーム対応の電話は聞くことが大事。ただ、相手からの質問があると答えが必要でこちらが話さざるを得ない。そうした時に質問に質問で返すと効果的。
 例:「どうしてこんなにわかりにくい表示なの?」
   →「それはですね…」と答えるのではなく
    「最もわかりにくいのはどのあたりでしょうか?」
    (p190)

・謝罪や感謝は同じフレーズを繰り返すと逆効果。「申し訳ありません」は使っても3回まで、それ以上は逃げ口上。代わりに「大変ご迷惑をおかけいたしました」「まことに不行き届きで申し訳ございません」などのバリエーションを活用する(一説には60種類以上あるとのこと)

その他、名指し人が不在の場合にどうするか、外出中の場合、休暇中の場合、体調不良の場合などで場合分けして対応方針を紹介していたりと実務的に考え方の参考になる。

あと、電話は3コール以内に出ろっていう話は言われたりもするけど、その根拠が書いてあって納得がいった。気分的なものではなく統計学的な理由があるという。ベルの音は2秒鳴って1秒休むという形で1コール3秒になっているので、4コール目が鳴っている時は最大で12秒経過している可能性がある。

一方、電電公社(現NTT)の調査によると、104番の番号案内サービスでは電話をかけて11秒以上応答がない場合切られる確率が急激に高くなることが分かったという。その結果を受けて、電電公社が11秒が呼び出しの心理的限界と考えてオペレーターに3コール以内の応答を推奨し始めたとのこと(p34)。

この調査からは時間も経っているので現代ではもっと早く応対が必要になるかもしれないという話は著者も述べているし、場面場面によって変わってくるところもあると思うけど、こういう背景が分かっているか分かっていないかによって理解度や実践度にも差が出てくるやろうなーと思った。

先日読んだOJTの本(「自分ごと」だと人は育つ)の話に、こういうものだからやってみて慣れて覚えてと帰納的なアプローチがうまくいかないケースが多くなっている中、これこれこういう考え方のもとでこういう理由でこうしてくださいと伝えて実践につなげる演繹的なアプローチの方が最初はうまくいきやすいみたいな話があったけどそれとも通じる。

ただそういうものだからと3コールでやれというのだと、逆に3コールで出ればいいんでしょとなって、3コール目でばっかり出るようになるかもしれない。そうではなく、こういう背景も含めて伝えると、臨機応変に早くとった方がいい時は1コール目でも対応したりとより良い結果につなげやすいのかなと思った。

電話対応に関してはまず最初にこれを1冊読んでおけばだいたいポイントはおさえられる感じでビジネス書の中で良書やなーと思った。会社に1冊あるといいかも。

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