2013年8月8日木曜日

「社会契約論」(作田啓一=訳)を読んでみてビジネスとかでも通じるところもあるなとも思った

社会契約論 (白水Uブックス)  

ジャン・ジャック=ルソー「社会契約論」(作田啓一=訳)読了。これを読もうという目的があって借りたわけではないけど、図書館の新着コーナーにあったのでたまにはこういう本でも読んでみるかと思って読んでみた。

高校の授業の記憶をうすらぼんやり手繰り寄せながら読んだけど、思っていたより読みづらくはなかった。翻訳も結構読みやすいんやと思う(読み比べては無いからわからんけど…)。

とはいえ、すんなり頭に入ってくる感じではなかった。自分の読解力の問題もあるけど、こういう系統の書籍って一見全体の構造が整理されているように見えて話が飛んでるように見えるところも多くて行きつ戻りつしたりしながら進める感じやった。

全体的には結構理想主義的な感じの話なんやなーと感じた。あと、教科書でも習った(気がする)一般意志についての話も結構ロジックがいろいろ組み立てられていてなるほどなと思う部分もあり、また、法についての話も興味深かった。特に以下の一節。

「建築家が大建造物を建てるまえに、地所を測り、地質を調べて、土地が重みに耐えられるかどうかを見るように、賢明な立法府は、それ自体としては申し分のない法律を編纂することから始めるのではなく、あらかじめ、彼がそれを与えようとしている人民が、それを支えるのにふさわしいかどうかを吟味する」(p69)

これは政府に限らず、会社とかの組織や、家族みたいな共同体においても、規範やルール、仕組みを作っていく上で通じる話なのかなーとも思った。法の正しさとか良さとかの前に、まずその対象や適用範囲となる人々の特性や状況をしっかり見極める必要があるというか。

また、もう1つ印象に残ったのは次のようなあたり。

「いかなる政治体においても、越えることのできない最大限があるが、国家の領土が拡大し過ぎて、この最大限から遠ざかってしまうことがよくある。社会のきずなは、長くなってゆくと、それだけゆるむ。だから、一般に小国家は大国家にくらべると強い」(p72)

「選ばれた百人の人でずっとうまくやれることを、二万人でやるべきでもない」(p106)

このへんも政府だけでなくビジネスとかその他の組織でも通じるかもなーと思ったし、マックの原田さんが本に書かれていたこととも通じるなと思った。

「企画を考えて実行する「仕事」が時間通り進まないとしたら、人数を減らして、一人ひとりの社員の生産性を上げるほうが得策です。
 嘘だと思う人も多いでしょうが、これは本当の話です。
 たとえば、マクドナルドが店舗を増やせば、それだけ店長やクルーの数を増やさなければなりませんが、マーケティングや、商品企画の部署には関係ない。大切なのは、企画から実行までの仕事をいかに効率的に進め、現場に浸透させていくか、それだけです。
「四人よりも二人で取り組んだほうが四分の一の時間ですむ」
 こういうケースが多いのです。人数が倍になれば、議論する時間が四倍になるからです。」
(「とことんやれば、必ずできる」p27)

あと、以下のあたりは、「7つの習慣」で言っているところの「第一の創造」「第二の創造」っていう話とも共通するところがあって興味深いなと思った。

「あらゆる自由な行為は、二つの原因が協力し合うことによって生み出される。その一つは精神的原因、すなわち行動を決定する意志であり、もう一つは物理的原因、すなわちその行動を実現する力である。私がある目標に向かって歩いてゆく場合、第一に、私がそこへゆこうと欲しなければならないし、第二に、私の足が私をそこへ運んでくれなければならない。中風患者が走ろうとしたところで、また、足の速い人でも走ろうとしなければ、どちらももとの場所にとどまっているだろう」(p87-88)

その他、日本の香具師の話が例に出されていたり(p44)、数式とかが出てきたりしていたのはちょっとびっくりした。内容は全然頭に入ってきた感じがせんけど、今後思想史とかに関する本で出てきた時に多少は興味がもてるかなとも思った。



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