2014年9月21日日曜日

「仕事に役立つ経営学」で辺境の日本人としての役割に思いをはせてみる

仕事に役立つ経営学 (日経文庫)  

最新の経営学のトピックを11人の研究者の方がそれぞれ解説している内容。2014年8月ということでトピックも時流にあわせている感じで他の本よりも新しい内容がカバーされている。

トピック的には経営学的な観点から全体をまんべんなく整理するというよりは、最近重要視されているようなテーマを羅列していっている感じ。

章立てはこんな感じ。

1 [企業の経済学]経営を経済学から読み解く  浅羽茂(早稲田大学教授)
2 [事業立地戦略]「誰に何を売るのか」を問う  三品和広(神戸大学教授)
3 [戦略イノベーション]「間違い」と「違い」は紙一重  楠木建(一橋大学教授)
4 [不確実性]シナリオ分析と多様性で危機に備える  岡田正大(慶応義塾大学教授)
5 [組織開発]変わり続けることに対応できる人と職場をつくる  金井壽宏(神戸大学教授)
6 [ダイバーシティ]多様性と一体感の両立を目指して  鈴木竜太(神戸大学教授)
7 [起業]ベンチャー精神を育む「場」をつくる  東出浩教(早稲田大学教授)
8 [企業倫理]コンプライアンスを超えて  梅津光弘(慶応義塾大学准教授)
9 [企業会計]企業の実態を「見える化」する  加賀谷哲之(一橋大学准教授)
10 [財務戦略]企業財務とリスク  中野誠(一橋大学教授)
11 [技術経営]革新的な技術を経営の成果につなげる  武石彰(京都大学教授)

引用元:http://www.nikkeibookvideo.com/item-detail/11314/

11人の話を1冊の新書に詰め込んでいるのと、基本的に研究的な話が中心なので、ダイレクトに「仕事に役立つ」という感じでもないけど、概念や理論的な整理、重要トピックの最新動向をざっとつかむのには良さそうな内容やった。

戦略イノベーションのところでは玉子屋の話もあってなかなか興味深かった。うちの会社も注文していて毎日食べてることもあるけど、低価格で一定の質のものを提供して行くということで事業にも通じるところがあるのでもう少し詳しく読んでみたいなーと思った。

その他に1つ印象に残ったのが、以下の話。

「帝国繊維は、明治時代の初頭に起源を持つ日本の製麻企業が大同団結して、1907年に設立された会社である。麻は自給可能な国産素材で、たいへん丈夫なため有望視されていた。それなのに戦後は合成繊維に押しやられ、帝国繊維は苦難を強いられた。
 この老舗企業を意外な人材が救出する。同社は麻の特性を活かした消防ホースを戦前から内製し、消防機材店ルートで販売していた。その間を取り持つ販売子会社に採用され、営業をしてきた社員が、親会社の消防ホースを売るために置かれた販社で他社製品を売り始めたのである。
 こうして生まれた防災事業が帝国繊維の新しい大黒柱に育っている。防災事業は売上高が繊維事業を逆転しただけでなく、営業利益の稼ぎ頭に躍り出た。けん引役を務めた人物は請われて帝国繊維に転籍し、取締役に選ばれた。防災事業の指揮を執り続けた期間は30年以上に及ぶ」(p47-48)

傍流の人材や事業が最終的に全体を救うという話は結構聞くし、ここでは概要がさらっと書いてあるけど、実際にそれが起こる過程ではかなりいろんな紆余曲折とか喧々諤々の議論や思いきった行動とかがあったんやないかと思う。

自分の身にひきつけて考えると、海外に本体がある中での1拠点である日本法人の一員、携わっている事業も新規事業ということで、いろいろ感じるところもあった。辺境の日本人としてやれること、やるべきことは何か、こういう視点からも考えて行くと面白いかもなーと思った一冊やった。

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