2013年7月22日月曜日

独断と偏見による整理が逆に分かりやすい「日本近代史」(坂野潤治)

日本近代史 (ちくま新書)

1957年から1937年という、幕末明治維新期から太平洋戦争前までのくらいの80年間の歴史を、
改革→革命→建設→運用→再編→危機→崩壊
の区分に分けて整理した本。

「本書は筆者の独断と偏見で綴った日本近代80年の歴史である」と述べているように、著者のとらえ方をベースにしているので、それ自体には賛否両論あると思う。ただし、変に中立的・客観的という体で書かれたものよりもよっぽど面白く読みやすい。

教科書的に事実だけをつらつらと並べていっても、その背景やそれがどういう意味を当時持っていたのかということはつかみづらいけど、この本ではそのあたりが著者の視点から分かりやすく整理されている。

明治~大正~昭和の政治って日本史習った時に、政党の変遷とかが図示されていてもなお分かりづらいこともあって、イマイチよく分からんイメージがあったけど、この本を読んで概観として流れがなんとなくつかみやすくなった気がする。

もう1つ分かりやすさの要因としては構造的な整理がされていることもあるかも。
例えば、明治政府の構造としては、

「「強兵」を唱える者、「富国」を重視する者、「憲法」が必要だとする者、「議会」こそ重要だとする者たちが、時と状況によって「連合」を組んで政府を運営する「柔構造」の政府だった」

等と整理している。こういう構造的な整理がされているので、全体像をつかみやすい。

1つ細かいところで意外だったのが原敬の話。大正デモクラシーの象徴のように語られるけど、実は普通選挙にも二大政党制にも反対していたという話。このへんはイメージで先入観があったなー。

しかし昨日の選挙結果をみてもいろいろ思うところはあるけども、こういう歴史にふり返ってみてもあんまりその頃とやってること変わらん気がする…進歩しているのかどうかっていうところはなんとも言えんけど、少しでも学んで同じ轍は踏まないようにしていかんとやな…と思いながら振り返った一冊やった。

0 件のコメント:

コメントを投稿