2013年4月26日金曜日

写真入りの解説が楽しい「100のモノが語る世界の歴史1: 文明の誕生」

100のモノが語る世界の歴史1: 文明の誕生 (筑摩選書)

2010年にBBCのラジオで放送された番組の記録を元にした本。大英博物館の所蔵品から100点を選んで紹介していくというもの。

元々はラジオの放送だったということで言葉だけだったかもしらんけど、本になっていることによって、解説とあわせて写真も見ることができ、イメージをふくらませながら読み進めることができて楽しい。

扱うモノの時代は、人類の歴史の黎明期から現代に至るまで。地域もヨーロッパに偏ったりしているわけではなく、アジアや北中米、アフリカなどの地域のモノも扱われている。モノの種類もレパートリーが広く、日常的に使われていたと考えられるモノから、芸術作品、儀礼に使われていたものまで。

日本のモノも紹介されていて、縄文土器についての解説がある。知らんかったのが「世界で最初の壺は日本でつくられた」(p102)ということ。逆に、稲作という農業形態が伝来したのはおよそ2500年前と、「国際的な基準からすれば、かなり遅くになってから」(p103)。

またこういうことを言うと後付けではあるんやけど、なんかモノづくりの精神みたいなのが現れている話かもなーとも思ったり。


100のモノについて読んでいくとなると、ちょっと量が多いかな…と思ったけど、1つ1つのモノについての解説は10ページいかないくらいで、文章も読みやすいので雑誌を読んでいくようにスラスラ読めた。

表現も、ところどころ現代のモノを使った比喩を交えていてつかみやすい。例えば、黄金のケープについて、「これらは青銅器時代のヨーロッパのカル地へやティファニーなのだ」(p182)とか。

この第1巻では、手斧等の石器時代のモノから、粘土板や像等、都市国家の時代のモノが紹介されていた。

モノを通じて、各地域の歴史の流れをいろんな角度から見ていくことができる。また、モノが作られた過程を探っていくと、材料を他の地域から得ていたりするので、地域同士のネットワークの広がりも見ていくことができて興味深かった。


この巻で紹介されていたモノの中で、個人的に心ひかれたのが、ペルーのパラカス半島というところから出てきた布の端切れ。紀元前300-200年くらいのものとみられているらしい。まず、そもそもその時代の布が残っているっていうこと自体がすごい。

そして、布の絵柄は、なんとなくコミカルな感じがするんやけど、解説を読むと、短刀をかざしていて切断された頭部をつかんでいるというもので結構エグイ内容。どういう意味を持っていたんやろうかと思うと結構また面白い。

続きの巻も楽しみな一冊やった。


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