2013年3月13日水曜日

「社長、御社の「経営理念」が会社を潰す!」とは言ってもやはり「存在意義」や「こだわり」は大事という話

社長、御社の「経営理念」が会社を潰す!

中堅・中小・ベンチャー企業の社長の応援団として、経営コンサルティングやセミナーを行っている会社の社長による「経営理念」に関する本。

語り口は口語調で、人によっては合う合わないはあると思うけど、内容としては分かりやすい。また、経営の考え方についても合う合わないはあると思うけど、合う人にとっては具体的な進め方も書いてあって参考になると思う。


■「経営理念」はいらない?
タイトルは一見常識と反するようにも見えるけど、ここで言っているのは経営理念そのものが要らないということではない。

多くの企業で「経営理念」がお題目となっていて、額縁に飾られていても実際には浸透していないような状況が多く、その原因は「経営理念」という言葉の分かりづらさにもあるということが述べられている。

例えば、「広辞苑」等の辞書に「理念」がどう説明されているかということを聞いてみても誰も知らない。これまでのセミナーで大体10万人くらいに聞いたものの、誰も知っている人がいなかったという。確かに自分も知らんかった…

それであれば、もっと分かりやすい言葉や表現に置き換えてはどうかというのが著者の提案。なので、経営理念的なものはやはり必要であって、ただその表現内容として「経営理念」という高尚な感じのものではなく分かりやすいものにした方が良いですよという話。


■この指とまれ経営
ではどういう表現にするかというと、具体的には、「存在意義」や「こだわり」といった言葉が提案されている。

そして、社長のおもいや考え、その会社にとっての理想的な行動を見える化、具体化し、社長と社員の方向性をあわせることで成果をあげていけるという話。

その中で、社長のおもいや考えと合わない社員については、会社を「卒業」してもらうということ。

これはGEでジャック・ウェルチが浸透させた考えと同じもので、特に重要なのが成果を出すけど会社の価値観には合わない人の処遇。

いくら成果を出したとしても、会社の価値観に合うように変わることができなければいずれは合わなくなってきてお互いにハッピーになれない。

ということでやはり成果を出す人も価値観に合わない限りは卒業してもらうべきという考え方。このような経営を、「この指とまれ経営」と呼んでいる。

「この指とまれ経営」とは以下のような経営。
「社長のゆずれない"おもい"や"考え"すなわち「存在意義」と「こだわり」に賛同する社長と社員の全員参加経営」(p6)


■この指とまれ経営のメリット
こうした経営を行なっていくと、おもいや考えが合う社員が大半になってきて、会社で一体感が出てきて組織が活性化するとのこと。

さらに、それだけでなく、マネジメントのストレスが減るという話は興味深かった。言われてみればそうなんやけど、会社の方向性に合わない部下をマネジメントするのは結構大変。

上司にも部下にもお互いにストレスが発生する。しかし、「この指とまれ経営」ではそうした社員が減るので、マネジメント上の負荷がぐんと減るということも述べられている。

さらに、「こだわり」が明確化されていると、叱る軸がブレなくなるということも重要。上司によって言うことが違っていたりということがなくなり、人が異なっても同様な軸でマネジメントができる。それによって、上司のマネジメントについての部下の疑念も少なくなるということ。

また、明確化した「存在意義」や「こだわり」に共感した人が商品を購入してくれたり、そうした人がお客さんの紹介や協力をしてくれるということも述べられている。


考え方としてはシンプルやけど、これを実践していくのはなかなか大変やろうなーと思う。ただ、いずれにしても、「こだわり」等を明確化、見える化していくことは大事やなー、子育てにも通じるかもなーと感じた一冊やった。

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