2013年3月5日火曜日

「お祓い日和 その作法と実践」から感じる日本人のもののとらえ方・考え方

お祓い日和 その作法と実践

「お祓い」についての本。仰々しい感じではなく、日常の中で気軽な感じでどのように取り入れていけるかを解説している。文章も読みやすいし写真等も入っていてビジュアルもきれいで雑誌みたいにして読める。

お祓いは神道のもののように見えるけど実はそうではなくそもそもは陰陽道から来ている。陰陽道自体、神道、仏教、道教の要素や俗信、呪術がまぜこぜになっているので土着的な部分が少なくない。


■お祓いはただの迷信ではない
そうしたことを受けてお祓いについて見ていくと、日本人のもののとらえ方や考え方が見えてきて面白い。著者も次のように述べている。

「お祓いはただの迷信ではない。行事や物への意味づけには、我々日本人の感性や自然観、神仏への畏怖が詰まっている」(p5)


■お祓いあれこれ
内容は3部構成になっていて、まず第一章では以下の漢字1つ1つをキーワードに、それぞれに関するグッズや意味合いが紹介されている。

第二章では、正月から年の瀬まで、春夏秋冬の間でどのようなお祓いに関するイベントがあるかが紹介されている。

その中で扱われているものは、お屠蘇や鏡開き、花見、端午の節句、七夕など、お祓いとは関係ないように思っていたようなものもあって、そういう意味があったんやなーっていうのが分かって結構面白かった。

あと、大体知ってるものが多かったけど、「夏越の祓」っていうのは知らんかった。けど、結構有名なイベントらしい。勉強になった。詳細は例えば以下のページをみると載っています。


■厄と節目について
第三章は厄年についての話。厄除けと厄払いはどう違うのか、神道と仏教での扱いはどう違うのかといったことについて、実際に研究者や神社、お寺の方にインタビューして整理している。

面白かったのが、厄と言っても単にマイナスなだけでななく、「厄」は「役」にも通じていて、力が大きくなることにも通じている。厄というハードルを乗り越え、それをプラスに転じることで力を発揮できるという意味合いもあり、厄にはプラスマイナスの両面があるということやった。

厄年にしても暦によるイベントにしても、総じて共通しているのが、節目や区切りの時期が危険で不安定な時期として扱われていること。節目節目を意識することで、定期的に気持ちを新たにするための良い機会になっていたのかなと思う。

今はあまり意識することも少なくなったけど、こういうのを大切にしていった方が生活にもメリハリがついて良いのかなーと感じた。


■お祓いにみる日本人の感性や自然観
最後に、「おわりに」で著者は次のように述べている。

「改めて調べ直して驚いたのは、日本における払いや招福の物品・作法の豊かさだ」(p154)

「私たちは万物に畏怖を感じている以上に、彼らが与えてくれる無償のギフト、言い換えるならばご利益を知っていたからではないか。だから、物の機能や効能の中に神の力を見、物それ自体に魂を感じてきたのではなかろうか」(p155)

最初の方にも書いたけど、日本人の感性を捉えなおす上でも参考になる一冊やった。


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