2012年12月17日月曜日

雑誌みたいで読みやすい「プロフェッショナルマネジャー・ノート」

超訳・速習・図解 プロフェッショナルマネジャー・ノート

アメリカの巨大コングロマリットITTの経営者だったハロルド・ジェニーンの「プロフェッショナルマネジャー」の解説本。

「プロフェッショナルマネジャー」はユニクロの柳井さんが「人生で最高の経営の教科書」と言っていてボロボロになるまで読んだ本。

ただ、その本が結構分厚いこともあってか途中で挫折した人もいたということでそういった人向けに図解を入れた簡単な解説書を出したということらしい。

雑誌の「プレジデント」の編集部からの出版ということもあってか、雑誌みたいに読みやすい。テーマごとに見開きで見出しが左側に書いてあって概要をつかみやすいし、図解も分かりやすい。

自分も以前「プロフェッショナルマネジャー」を読みはしたものの、確かにあんまり内容が頭に入ってきづらかったイメージがあるので、良い復習になった。


■人の気持ちへの配慮
1つ印象に残ったのが、人間の心理というか、気持ちへの配慮が随所に述べられていたこと。

例えば、マーケティングの理論とかの話になると必ずといっていいほど出てくるプロダクト・ポートフォリオの話について、ジェニーン氏は批判的。

これについて、以下のように解説されている。

「"キャッシュ・カウ"と名付けられ、挙げる利益を他部署に持ち去られ、成長の望みがないというレッテルを貼られたセクションで誰が働きたがるかを、おもんぱからないといけないと考えたからです。"ドッグ"についても単に切り捨てるべきものと考えていいか、疑問に感じます。まず、その事業部はなぜ“犬”なのかを突き止め、犬は犬でも優秀なグレイハウンドに仕立て上げるためにできる限りのことをするのが経営者の責任であるとジェニーンは断言します。経営者の失敗の結果、"ドッグ"を負けのまま見切って処分して決着をつけることを彼は潔しとしません。ある会社なり事業部をどうしても処分しなくてはならない場合は、負け犬をグレイハウンドに立て直してから売るべきだというのです。
 つまり、現場は理論では動かないという皮膚感覚が彼のなかにあるのです」(p35-36)

これは共感した。他にも下記のようなことととか。

「何かをするなと命じるのは構わない。しかし、本人が納得しないことをさせたかったら、納得するまで説得しなくてはならない」(p114)


■社員に充実感を感じさせる
さらに印象に残ったのが、ジェニーン氏が挑戦的、創造的、活気のある雰囲気のある会社をつくろうとしたという話。

本書では以下のような言葉を紹介していた。

「働く人々に、とても到達できないと決め込んでいるゴールに向かって努力させてみたかった。不可能だと思っていることを成し遂げさせたかった。ただ会社と出世のためではなく、冒険をやり遂げる喜びそれ自体を感じてもらいたかった。そして彼らが自己顕示欲のためでなく、大きなチームワークの一部として、より高度で困難な挑戦に立ち向かっていく過程を楽しんでもらいたかった。自分がチームに貢献し、自分が必要とされていることを知り、ゲームに勝つことに誇りと満足を覚えるようになってほしかった」(p121)

「プロフェッショナルマネジャー」を読んだ時は、結構仕事の鬼みたいな感じで体育会系のイメージだったので意外やった。そのあたりを自分が読み取れてなかったんやなーっていうことに気付けたのも良かった。


■新しいアイデアはほとんど必ず会議が終わりかけたときに、生まれてくる
最後にもう1つ。会議についての話。議事にかける時間を細かく決めてそのとおりに進行しようとすること自体が非生産的だというのがジェニーン氏の主張。

「そもそも会議を厳密な予定に従ってやろうと試みること自体が非生産的で、時間に制限など設けたら、何かを言い出そうとしても口に出して言うことを控えてしまう人もいるはず。彼が言おうとしたことは、みんなに聞かれずに終わってしまう。そのために、もしかしたら会社のマネジメントたちは、何か重要なものを取り逃してしまったかもしれないのだ。それどころか、新しいアイデアというのは必ずと言っていいほど、会議が終わりかけたときに、誰かが『今思いついたが……』と言い出すものなんだ」(p141)

ビシバシ議事通りにやって効率良くやるべしみたいなことを主張しそうなイメージがあったので意外と言えば意外やったけどこれも共感できる。

時間がかかっている中で結構アイデアが出てきたり、話がうまくまとまって収束に入ったりすることもあるので、その時に無理やり途中で打ち切ってしまうともったいない気がすることがある。

ただ、内容が薄いのにやたら時間がかかってるものとかもあるので、要は事前準備とか進行とか参加者の目的意識や参加度次第なんやろうなーという気がした。


ジェニーン氏に対するイメージが、鬼軍曹みたいなイメージから人間心理へも配慮したトップという感じに少し変わった一冊やった。

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