2012年10月23日火曜日

「保育園・幼稚園で働く人たち」は保育園・幼稚園だけじゃなくて地域の中でも重要な役割を果たしている



たぶん中学生くらいが想定読者層やけど、特にインタビューは自分が読んでも面白かった。

保育園や幼稚園でのいろんな仕事をインタビューとともに紹介しとる。保育士、幼稚園教諭、園長、事務職員とかはイメージできてたけど、看護師や栄養士も働いているっていうのは恥ずかしながら知らんかった…

幼稚園を立ち上げた方のインタビューもあって、一面茶畑だった土地に、園舎を建てて、園庭は自分たちで重機を動かして造成したっていう話もあって、場を作るんだという強い想いが伝わってくるエピソードやった。


■子どもの力を信じる
保育士さんや幼稚園教諭の方の言葉も非常に印象的。

「保育の仕事をしていて、大きなやりがいを感じると同時に難しいと思うのは「子どもの力を信じること。信じて待つこと」でしょうか。そのことこそ、いちばん保育土に求められているように思います。
 子どもたちは、何か問題が起こっても自分たちで解決していく力をもっているんです。それなのに人生経験のある大人はついつい先回りしてしまう。でも、子どもたちが本来もっている力は、大人が気を利かせたつもりで用意するようなことを超えていきます。もっと自分たちで考えたり、悩んだり、仲間同士で力を出し合って乗り越えたり、そういうところに子どもたちの底力がある。僕はその力を信じています」(p38-39)
―保育士 林望さん


「園生活でも先生の力が問われます。たとえば、みんなで遊んだおもちゃを片付けるとき。私が「片付けなさい」と言ったら、言われたことを子どもたちはするでしょう。でも、そうではなくて、これだけ散らかっているおもちゃをどうしたらいいだろう。このままにしておいたら、明日どうなる?って、子どもたちといっしょに考える。そういう話し合いは、子どもたちとの信頼関係があってこそ成立するんですよね。」(p106)
―幼稚園教諭 多田友恵さん


■場としての保育園
もう1つ印象に残ったのが、保育園の役割についての話。

「保育園の役割って、保護者から子どもたちを預かって育てるだけではなく、地域で暮らす人たちがおたがいに支え合って生きていくための、地域の核になるような、とても大切な場」(p71)

ある幼稚園の主幹教諭の方の言葉が以下やけど、幼稚園や保育園を中心に、そこに直接関係する親子だけでなく地域の人全体が関わり合う場としての役割を担っていけるのではないかという話。

「広くいえば、幼稚園の役割は、地域の中心、地域の拠点でありたいと考えています。僕自身、一歩園の外に出て、商店街を歩くと卒園生に声をかけられる。卒園生たちは、折々園に顔を出し、時には仲間同士で園に泊まって語り合う。親同士もつながり合う。近隣の保育園や小学校とも、つながり合って、たがいに感じたこと、思うこと、伝えたいことを気楽に口に出していく。
 これから、地域が住みやすい場になっていくためには、やはり、そこで生きていく人たちがつながり合っていくことが、いちばんだと思うんですよ。そのつながりをどのようにつくっていくか、というところを意識して考えていきたい。そういう意味で言えば、もう、幼稚園の先生は、幼稚園の中だけに留まってはいられないかもしれませんね。園内の子どもたちとふれあいつつ、どんどん地域に出て行って、さまざまな施設ともかかわり合っていく。人の暮らしの大切な場所、かかわり合う中心の場として、幼稚園が位置づいていきたいと願わずにはいられません。」(p119)
―主幹教諭 羽田二郎さん


■子どもだけでなく大人が成長する場
そして、保育園や幼稚園は、人が集う場として、子どもだけでなく大人が成長する場としても機能しているという言葉もあった。

「保育園は人が集う場で、集う人たちは日々変化していきます。人とのかかわり方も変わってきます。そういった変化は、たった一人の保育士が、一歩前に踏み出すことから始まるかもしれません。
 保育園は子どもが成長する場です。同時に、大人も成長していきます。子どもたちのようすからも気付くことがたくさんあり、職員同士のかかわりや、保護者の方からの声で目が見開かれることもあります。そういう気付きが重なって成長していくようすが、手に取るように感じられる場所、それが保育園なんですよね。だから、保育園は楽しい。そういう姿をおたがいに感じ合っていけるのは、幸せなことだと思います。」(p77)
―園長 林和恵さん


子どもはもちろん成長していくし、子どもとの関わりを通して大人も成長していける、そういう場が保育園や幼稚園なんやなーと思って、見方がだいぶ変わった。

単に子どもを預けたり教育したりする場ではなく、地域の拠点として考えればとても重要な機能を果たしていると言えるんやなーと、そんなことを思った一冊やった。


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