2012年10月25日木曜日

「幕末維新に学ぶ現在」から歴史の学び方・活かし方を学ぶ


「幕末維新に学ぶ現在3」読了。元は新聞の連載で、各回1人ずつ幕末維新期の人を取り上げて紹介したのをまとめた本の3巻。

ただ紹介するだけじゃなくて、その時々の現在の政治や社会の状況と関連づけて紹介してる。歴史を学ぶっていうのはこういうことかっていうか、歴史の活かし方を学べる内容。

取り上げる話題も新聞連載だけあってかなりタイムリー。例えば、TPPにからめて吉田松陰の話を紹介。


「松陰の生きた時代は、環太平洋経済連携協定(TPP)への加盟交渉への参加すら速巡し、円高・金融不安に揺れながら、まかりまちがえば沖縄県民の離反を招きかねない日米関係の歪みが進行する現在と共通する点も少なくない。
 松陰は、外国からの圧迫で日本が消滅しかねない危機の深化のなかで、日本史と世界史のうねりが結びつき、人びとの日常生活から外交安全保障に至る多領域で切迫した危機を最初に意識した日本人の一人である。」(p115)

吉田松陰のように人口に膾炙してるようなメジャーな人だけでなく、いろんな人を紹介してる。と言うかその方が多い。歴史に詳しい人は知ってる人も多いかもやけど、自分は知らんかった人がほとんど。

例えば、小沢一郎さんの秘書の石川さんの話にからめて明治忠臣蔵というテーマで本田政均という人を紹介してる。

本田政均の家臣は、陪臣であって直臣ではないことから、幕府というより主人(本田政均)に忠節を尽くすところを、小沢さんの秘書が民主党より小沢さんに忠節を尽くすところになぞらえている。

  • 幕府―本田政均―家臣
  • 民主党―小沢一郎―秘書集団

「石川氏が無所属になったというのは、民主党の"直臣"ラインから進んで外れて、限りなく秘書という立場に近い"陪臣"めいた"節義"を小沢氏に対して発揮しようとしたとも理解できる。」(p96-97)

他にもなでしこジャパンの優勝に貢献した澤穂希選手と、明治期に社交界や社会活動で活躍した大山捨松という女性を結びつけたり、野田首相の誕生と、薩摩藩をまとめあげて他藩との連携や交渉でも活躍した小松帯刀を結びつけたりとかなり引き出しが多い。

あと、黒田清輝は最初から画家を目指していたというよりは、元々は高級官僚から政治家へ進むことが期待されていた人材やったっていうのが知らんかったし面白かった。

著者の山内さんの専門はイスラムとか中東なのに、聞いたことないような日本の人が続々と出て来てすごい。

三年間の連載で目指したことは
「ひたすら若い世代に世界史や日本史を通して現代を見る視点を涵養してほしい」(p190)
ということで、その想いが伝わってくる一冊やった。

てか、著者の山内昌之さんは、大学の時に授業とったんやった。内容ほとんど覚えとらんけど(^_^;)もっと真摯に受ければ良かったなー。もったいない…と思うことが最近多い…

が、終わったことはしょうがないので、少しでも今から学ぶべし!とりあえず、このシリーズ3巻だけ読んじゃったんで、1と2も読もうかな。


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