長生きすりゃいいってもんじゃない
聖路加国際病院の院長・理事長を務められた日野原重明さんと、レイトン教授や頭の体操で有名な多湖輝さんが、老いや生き方をテーマに交互に書いたエッセイ集。
日野原さんは1911年生まれで執筆当時98歳、多湖さんは1926年生まれということで、テーマも「「六十五歳が高齢者」という侮辱」や「「高齢者」ではなくて「好齢者」」といったもので、世間一般で「高齢者」と言われるような年齢になってもまだまだいけますよという感じの話。
■「高齢者」のイメージを変える
すごいのが「新老人の会」を結成したという話。意気盛んな75歳以上の方を「新老人」と命名し、75歳以上の方が「シニア会員」、60-74歳までを「ジュニア会員」としたということ。60過ぎで「ジュニア」って…
この会を結成した心意気は共感できた。
「たとえ体は老化しても、精神まで衰えたと考えるのはまちがっています。
そう考えたからこそ、精神力で心を活性化させ、生き生きとした人生を世の中に示したいと思いました。
私たちの世代が、そういう生き方を示すことで、「高齢者」のイメージは変化します。そうすれば、次世代の人々もまた「老い」を醜いものとか汚いものとは思わなくなるでしょう」(p18)
これから日本は高齢化(さらに超高齢化)社会になっていくので、「老い」を肯定的にとらえられるようなロールモデルは大事やなーと思う。
■木の実を播いておく
1つ印象に残ったのが木を植えるという話。文字通り木を植える人の物語が紹介されているけど、主眼としては後世に何を残すかという話。
「どんなに富や名誉を手に入れたとしても、来世までは持っていくことができません。しかし、たとえば、何かの木を植えてみると、その木は植えた人が亡くなったあとも成長を続け、後世の人たちを喜ばせることができます」(p197)
これに関連して、資生堂の元社長の福原義春さんの話が紹介されていた。創業120周年の年に世界中の社員3万人全員に一冊の本を送ったということ。それが「木を植えた人」という50ページたらずのもの。
主人公の羊飼いが数十年にわたって一人で荒地に木を植え続け、荒地が次第に森となり、最後には人々が移住してきて町をつくってしまうというストーリー。
この本を送った時の福原さんの言葉がステキ。
「人生と同じように、会社も好調のとき、苦しいときを何回も何回も経験しながら、大きく育ってきました。このときに、皆さんとともに1冊の本をあらためて読んでみたいと思いました。ことばは心を選びます。私はこの本をかりて皆さんに私の心を送ろうと思います。そして私自身がこの本を大切に『木を植えた人』の心を考え続けます。私たちもいっしょに、まず会社の中に木を植え、そして会社のはたらきを通じて社会に木を植えていきたいと思うのです」(p200)
この本をどこかで読んだことがある気がするけど、とても印象に残っていたのを思い出した。子どもが少し成長したら読ませたいなーと思う。ので忘れないようにAmazonで注文しといた。
あともう一つ、日野原さんが禅の大家、松原泰道さんと対談した時に紹介された種田山頭火の句も印象に残ったので転載。
「いつ死ぬる木の実は播いておく」
自分の知り合いで林業を営まれている方がいて、まさに上記のような精神で森づくりをやられているのでこの話は一層感慨深かった。文字通りの木でなくても、社会に対して何を植えるか、何の実を播くかというのはそろそろ考えていかんとやなーと思った。
■人生の別れ
日野原さんがいつも話されるという人生の別れについての話。人生の別れを6つの集約して、それらがいかに新しい出会いに結びつくかを話されているとのこと。6つの別れとは以下。
確かに、会社に所属していたり、仕事をしていたりすると、自己紹介する時にそこが起点になったりするけど、それらと別れた時にどうなるのか、どうなっていたいのかというのは考えておいた方がうろたえずに済む気がする。
また、「葉っぱのフレディ」の紹介に関連して以下のように述べられていた。
「私たちの人生にも、フレディと同じく四季があります。春から夏、夏から秋になり、やがて冬になって初めて死を感じるのです。しかし、冬になって考えるのではなく、若葉のころから死について学んでいけば、おのずと生き方そのものが変わるでしょう」(p153)
自分はまだ時間があるけど、今の段階から「高齢者」になった時のことを時々でもイメージしておくと、考え方やとる行動も変わってくるかなーと思った一冊やった。
聖路加国際病院の院長・理事長を務められた日野原重明さんと、レイトン教授や頭の体操で有名な多湖輝さんが、老いや生き方をテーマに交互に書いたエッセイ集。
日野原さんは1911年生まれで執筆当時98歳、多湖さんは1926年生まれということで、テーマも「「六十五歳が高齢者」という侮辱」や「「高齢者」ではなくて「好齢者」」といったもので、世間一般で「高齢者」と言われるような年齢になってもまだまだいけますよという感じの話。
■「高齢者」のイメージを変える
すごいのが「新老人の会」を結成したという話。意気盛んな75歳以上の方を「新老人」と命名し、75歳以上の方が「シニア会員」、60-74歳までを「ジュニア会員」としたということ。60過ぎで「ジュニア」って…
この会を結成した心意気は共感できた。
「たとえ体は老化しても、精神まで衰えたと考えるのはまちがっています。
そう考えたからこそ、精神力で心を活性化させ、生き生きとした人生を世の中に示したいと思いました。
私たちの世代が、そういう生き方を示すことで、「高齢者」のイメージは変化します。そうすれば、次世代の人々もまた「老い」を醜いものとか汚いものとは思わなくなるでしょう」(p18)
これから日本は高齢化(さらに超高齢化)社会になっていくので、「老い」を肯定的にとらえられるようなロールモデルは大事やなーと思う。
■木の実を播いておく
1つ印象に残ったのが木を植えるという話。文字通り木を植える人の物語が紹介されているけど、主眼としては後世に何を残すかという話。
「どんなに富や名誉を手に入れたとしても、来世までは持っていくことができません。しかし、たとえば、何かの木を植えてみると、その木は植えた人が亡くなったあとも成長を続け、後世の人たちを喜ばせることができます」(p197)
これに関連して、資生堂の元社長の福原義春さんの話が紹介されていた。創業120周年の年に世界中の社員3万人全員に一冊の本を送ったということ。それが「木を植えた人」という50ページたらずのもの。
主人公の羊飼いが数十年にわたって一人で荒地に木を植え続け、荒地が次第に森となり、最後には人々が移住してきて町をつくってしまうというストーリー。
この本を送った時の福原さんの言葉がステキ。
「人生と同じように、会社も好調のとき、苦しいときを何回も何回も経験しながら、大きく育ってきました。このときに、皆さんとともに1冊の本をあらためて読んでみたいと思いました。ことばは心を選びます。私はこの本をかりて皆さんに私の心を送ろうと思います。そして私自身がこの本を大切に『木を植えた人』の心を考え続けます。私たちもいっしょに、まず会社の中に木を植え、そして会社のはたらきを通じて社会に木を植えていきたいと思うのです」(p200)
この本をどこかで読んだことがある気がするけど、とても印象に残っていたのを思い出した。子どもが少し成長したら読ませたいなーと思う。ので忘れないようにAmazonで注文しといた。
あともう一つ、日野原さんが禅の大家、松原泰道さんと対談した時に紹介された種田山頭火の句も印象に残ったので転載。
「いつ死ぬる木の実は播いておく」
自分の知り合いで林業を営まれている方がいて、まさに上記のような精神で森づくりをやられているのでこの話は一層感慨深かった。文字通りの木でなくても、社会に対して何を植えるか、何の実を播くかというのはそろそろ考えていかんとやなーと思った。
■人生の別れ
日野原さんがいつも話されるという人生の別れについての話。人生の別れを6つの集約して、それらがいかに新しい出会いに結びつくかを話されているとのこと。6つの別れとは以下。
- 会社・仕事との別れ
- 肩書き・地位との別れ
- 人(仕事関係)との別れ
- 情報との別れ
- 家族との別れ
- 健康との別れ
確かに、会社に所属していたり、仕事をしていたりすると、自己紹介する時にそこが起点になったりするけど、それらと別れた時にどうなるのか、どうなっていたいのかというのは考えておいた方がうろたえずに済む気がする。
また、「葉っぱのフレディ」の紹介に関連して以下のように述べられていた。
「私たちの人生にも、フレディと同じく四季があります。春から夏、夏から秋になり、やがて冬になって初めて死を感じるのです。しかし、冬になって考えるのではなく、若葉のころから死について学んでいけば、おのずと生き方そのものが変わるでしょう」(p153)
自分はまだ時間があるけど、今の段階から「高齢者」になった時のことを時々でもイメージしておくと、考え方やとる行動も変わってくるかなーと思った一冊やった。
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