2012年11月17日土曜日

見かけによらずワンコインで学べることが多い「図解 ドラッカーがわかる本 」


図解 ドラッカーがわかる本 

ペーパーバックスみたいな感じで500円。なので、正直最初は軽そうな内容かなーと思ってたけど、意外にワンコインで結構学べる。

しかも著者自身の経験、果ては、けいおん!やエヴァンゲリオンも引き合いに出しつつ具体例を紹介していてとっつきやすくしている。

■ドラッカー本3つの罠
まず最初に、ドラッカー本を読んでいく時にはまりやすい3つの罠について解説している。その3つが以下。

①登場する「例」がすごくわかりやすい
「わかったつもり」になってしまう。そのケースでは当てはまっても自分の状況でも同じことが言えるとは限らない。

②ドラッカーの言葉が標語のようにキャッチー
用語を覚えただけでは思想を理解したことにはならない。

③「普通の言葉」を「普通でない意味」で使う
「ドラッカーはしばしば「普通の言葉」を「普通でない意味」で使うことがある。「ほらほら、読者のみんなは、この言葉の意味を、こういうことだと思い込んでいない?」でも、本当はそうじゃないんだよ。本質はこういうことなんだよ!」―ドラッカー定番の論法である」(p13)

しかも「言葉の定義」は本の冒頭で一度しか語られない。どこにも書いてないケースもあるということ。

これら罠を回避するために、最初のパート1では基礎用語を解説。ドラッカー本はまだあんまり読んでないけどこのへんを念頭においておくと良いかもなーと思った。


■ドラッカーの人となり
その次のパート2は、ドラッカーの生涯を振り返るダイジェスト。誕生から幼少時代、そして仕事の経歴などについて解説。

おばあちゃんから学んだこと、父の人脈、先生などについても述べていて、人脈がスゴイ。

フロイト、シュンペーター、ハイエク、ポランニー等の著名な学者だけでなく、作家のトーマス・マンや初代チェコ・スロバキア大統領のトマス・マサリクなど、そうそうたる名前が並ぶ。


■趣味全開の具体的な例が面白い
パート3以降では、以下のような内容について紹介。

  • 「ビジネスマン」のあり方
  • 「リーダー」のあり方
  • 「組織」のあり方

こうした中で、著者の人が自分の経験からの例も引き合いに出しながら紹介していてそれが結構分かりやすい。

例えば、「コスト予防」というキーワードについて。著者の子供が1歳の時に歯磨きが終わるとキシリトールのラムネを1つあげていて、2歳になったら2つにした。

ラムネが増えた時に最初は狂気して子どもが喜んだけど、しかしすぐに「ラムネを2個もらえるのが当然」という感覚になり、1つしかない日にかんしゃくを起こすようになってしまった。

一旦コストを上げてしまうと後でコストを削減するのは難しいという例としてこれを紹介している。

その他にも、「変化は自ら求めよ!」という項では次のような例を紹介している。

ある女の子に意外と音楽の素質があってわりと早い時期にギターを弾けるようになる。しかし、技術が高くなると、さらに上を目指すには道のりが長くなってきた。

「その道のりの長さに挫折し、楽器への興味が薄れたとき、唯は「飽きた」といった。
―アニメ『けいおん!』に関係あるようで関係のない話である。」(p98)

思わず「けいおん!」かよ!ってツッコミたくなった(笑)

もう1つ、「自由」というキーワードについて。新世紀エヴァンゲリオンの最終回でシンジに聞こえてくる声を紹介している。

「これは何?何もない世界」
「なにものにも束縛されない、自由の世界だよ」
「あなたが考えない限り、何もない」
「君の好きにしていい世界」
「でもあなたは不安なのね」
「どうしたらよいか、わからないからね」

「このシーンは、ドラッカーの言う「自由は楽しくない」という主張の本質をズバリ表現した」(p233)と述べている。

著者の経歴を見ると、アスキー出身ということやけど、そういうバックグラウンドもあってからなのか、こういう例を出してくるのは面白かった。


見かけで判断したらいかんなー…と改めて思った一冊やった。


0 件のコメント:

コメントを投稿