スティーブ・ジョブズ 神の交渉力―この「やり口」には逆らえない!
■交渉術は学べないけど…
「交渉力」というタイトルはついてるけど、交渉術が学べる本ではない。あくまでもスティーブ・ジョブズがやってきた内容がベース。
そしてそれは真似できるかっていうと簡単に真似できそうにはないし、そもそも真似して良いことなさそう。ちょっと超越してる感じ。
「神の交渉力」と書いてあるのはそういう意味合いも込められてるのかもしらんなー。
■ビジネスへの執念を象徴するエピソード集
そして、内容としては、スティーブ・ジョブズの栄光も挫折も両方含めてエピソードを紹介しつつ、どのように事業を進めてきたかを描いている。
どっちかっていうと伝記に近い感じがする。正式な伝記は日本語版だと上下巻で結構重いので、手軽に読みたい場合には良いかも。
著者もまえがきで次のように述べている。
「本書はジョブズの成功だけでなく、挫折もふくめた強烈な生きざまにスポットを当てる。そして、ビジネスへの執念を、交渉力という切り口から解明する」(p5)
しかしホントいろんなエピソードで語られる、執念というか、徹底ぶりというか、情熱はすごい。
■章立て
本自体の章立てはこんな感じ。
- 「言い方」は「言い分」より交渉を支配する
- 弱い味方は潜在的な敵方である
- 妥当な案より「不当な案」であ交渉を動かせ
- 最善の説得術は棍棒でたたくことだ
- 楽観は考えなしだが、悲観は能なしだ
- 失敗と思わなければ決定的失敗ではない
- 「待ち」は価値の重要な一部をなす
うーん、これを見てもやっぱりあんまり真似はできないなー。でもスティーブ・ジョブズという強烈な個性がどういう軌跡をたどってきたかっていうところは興味深く読める。
あと、章の合間に著者が適宜他の人のエピソードを紹介していて、それも結構参考になった。例えば、次の箇所。
■「自分のやり方」でなく「最高のやり方」を選べ
「本田宗一郎氏が「独創的な新製品をつくるヒントを得ようとしたら、市場調査の効力はゼロとなる」と言っている。
大衆は創意を持たない批評家だ。企業は、作家でなければならない。自分で発想せず、大衆への市場調査に発想を求めたら、企業は作家ではなくなる。
大衆が絶賛する商品とは、大衆がまったく気づかなかった楽しみを提供する独創的なものだ。市場調査に頼って商品開発を進めると、「ちょっといいもの」で終わる。大衆が手にしてはじめて「あっ! これがほしかったんだ」と気づくような「どこにもないもの」は、市場調査からは決して生まれない。目の前に見える需要を追うのではなく、「自分たちが需要をつくる」ことが、これから、より強く求められている。」(p142)
このへんはヒントになるかもなー。
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