実践!ビジョナリーカンパニーへの教科書
理念を経営の根幹にすえた「ビジョナリーカンパニー」を築いていくための考え方やステップについてまとめた本。
有名なジム・コリンズの「ビジョナリー・カンパニー」に則っているという感じではなく、著者自身の考え方を説明した本。
考え方のベースになっているのは次の3つの言葉。
「経営とは他人を通じて事を成すことなり」
「相手を変えることはできない。しかし自分が変わることはできる」
「相手を変えることはできない。しかし変わろうとする相手を助けることはできる」
(p3)
組織で何かを成し遂げようとすると自分一人では限界がある。それを認識したうえでどうやって社員一人一人が自走する組織をつくれるか、そのために参考になる組織づくりの考え方をビジョナリーカンパニーという言葉に託して紹介している。
Amazonのレビューでの評価は低いけど、自分としては結構参考になるところや得るところが多かった。
■ビジョナリーカンパニーへの道
本書で言うところの「ビジョナリーカンパニー」とは
「明確な理念を持ち、理念中心の経営を行うことで継続的に成長している企業」
ということで、著者自身が再定義している。
この定義の中にもある、理念の重視と成長という2つの要素は、相反するようにみられることもあるけど実はそうではないというのが著者の主張。
その点にも関連して、本の冒頭で「ビジョナリーカンパニーとは何か?」という章を設け、ビジョナリーカンパニーについて解説するとともに、理念が業績を生み出すメカニズムについても説明している。
その上で、「ビジョナリーカンパニーへの道」と題し、次の4ステップを紹介。
厳密にこの4ステップに沿っていなくても、それぞれのステップの中で何がしか自社の参考になる点があるのではないかと思う。
■ビジョナリーカンパニーへの道をイメージしやすいキーワード選び
この著者の本に共通することやけど、言葉選びがうまい。例えば、以下のようなもの。
これはそれぞれどういう意味かというと…
追い越し禁止でパワーバランスを変える
「社長がルールブック」で社長がすべて判断や指示を下していた状況から、すべてリーダーを通じて間接的に伝えるようにすることで、パワーバランスを変える必要があるということ。
連結ピンの役割と翻訳を要望する
リーダーに対して、上と下をつなぐことを要望するということ。しかも、単に上が言ったことを下に押し付けたり、下から上がってきたものをそのまま上に投げるだけではなく、組織全体の観点から経営層の意図を翻訳して下に伝える役割を要望する。
矛盾の解消と創造を要望する
どちらをとるか難しい局面において、ORの発想ではなくANDの発想でどちらもとれる第三の案を頭を使ってひねり出すことを要求すること。これを通じて、人や組織のレベルを上げる。
前線から撤退し後方支援へ転換する
営業に同行したり、現場で細かな指示を与えているといつまでも部下が育たないので、徐々に現場から離れて部下が自分で考え動けるようにしていくこと。それで何をするかというと、前線にいる部下が働きやすいように支援する、環境や制度を整える(例:業務フローの標準化、採用、理念や人事制度の運用、商品開発・改善)。
その他にもたくさん分かりやすい言葉があった。言葉選びって大事やなーと改めて感じた。
■「パワーバランス」と「追い越し禁止」が「理念」への渇望を生む
ビジョナリーカンパニー構築のステップのところで特に参考になったのが、「「パワーバランス」と「追い越し禁止」が「理念」への渇望を生む」という言葉。
これはどういうことかというと、「追い越し禁止」を徹底すると、それまで社長に何でもかんでも判断を求めれば決まっていたことが、リーダーたちが自分自身での判断することが必要になってくる。
その時に、リーダーたちは、
「こういう場面ではどう判断すればいいのか?」
「社長はなぜこれまでこの方針をとって来たのだろう?」
といった疑問を持ち、「判断の軸」「意思決定の基準」が求めるようになる。
この「判断の軸」「意思決定の基準」がすなわち「理念」であるということ。
これに関連して、著者は「喉が渇いていない馬に水を飲ませることはできない」(p47)という言葉を紹介している。
判断基準が必要ない(=喉が渇いていない)状態で理念についてくどくど述べてもうまくいかない。しかし、追い越し禁止で自分から判断基準を求める(=喉が渇く)ようになると、強烈に求め始める。
著者は次のように述べている。
「リーダーや現場が「理念」を求めていないのにトップダウンで「理念」を押しつけても、彼らはそれを受け入れてはくれません。そうではなく、彼らに先に権限委譲を行う。トップ自身がカリスマ経営を卒業し、自立自走することをリーダーたちに求める。
こうした「喉を渇かす」動きを先行させることで、「理念」に対する渇望を促し、その後に「理念」を定め経営の根幹に置く。このステップこそが重要なのです」(p47)
つまり、理念の浸透を一生懸命やることは大事だとしても、ステップとしては喉を渇かす=権限委譲をして判断を求めることを先にやることが重要。そうすると、理念が自然に求められ浸透していくという考え方。
全部が全部きれいにこういうふうにうまくいくわけやないとは思うけど、考え方としては参考になるなーと思った。
理念を経営の根幹にすえた「ビジョナリーカンパニー」を築いていくための考え方やステップについてまとめた本。
有名なジム・コリンズの「ビジョナリー・カンパニー」に則っているという感じではなく、著者自身の考え方を説明した本。
考え方のベースになっているのは次の3つの言葉。
「経営とは他人を通じて事を成すことなり」
「相手を変えることはできない。しかし自分が変わることはできる」
「相手を変えることはできない。しかし変わろうとする相手を助けることはできる」
(p3)
組織で何かを成し遂げようとすると自分一人では限界がある。それを認識したうえでどうやって社員一人一人が自走する組織をつくれるか、そのために参考になる組織づくりの考え方をビジョナリーカンパニーという言葉に託して紹介している。
Amazonのレビューでの評価は低いけど、自分としては結構参考になるところや得るところが多かった。
■ビジョナリーカンパニーへの道
本書で言うところの「ビジョナリーカンパニー」とは
「明確な理念を持ち、理念中心の経営を行うことで継続的に成長している企業」
ということで、著者自身が再定義している。
この定義の中にもある、理念の重視と成長という2つの要素は、相反するようにみられることもあるけど実はそうではないというのが著者の主張。
その点にも関連して、本の冒頭で「ビジョナリーカンパニーとは何か?」という章を設け、ビジョナリーカンパニーについて解説するとともに、理念が業績を生み出すメカニズムについても説明している。
その上で、「ビジョナリーカンパニーへの道」と題し、次の4ステップを紹介。
- カリスマ経営からの脱却とリーダーの抜擢
- 対立から始めるチームビルディング
- 理念の策定と浸透
- 仕組みによる理念の封じ込め
厳密にこの4ステップに沿っていなくても、それぞれのステップの中で何がしか自社の参考になる点があるのではないかと思う。
■ビジョナリーカンパニーへの道をイメージしやすいキーワード選び
この著者の本に共通することやけど、言葉選びがうまい。例えば、以下のようなもの。
- 追い越し禁止でパワーバランスを変える
- 連結ピンの役割と翻訳を要望する
- 矛盾の解消と創造を要望する
- 前線から撤退し後方支援へ転換する
これはそれぞれどういう意味かというと…
追い越し禁止でパワーバランスを変える
「社長がルールブック」で社長がすべて判断や指示を下していた状況から、すべてリーダーを通じて間接的に伝えるようにすることで、パワーバランスを変える必要があるということ。
連結ピンの役割と翻訳を要望する
リーダーに対して、上と下をつなぐことを要望するということ。しかも、単に上が言ったことを下に押し付けたり、下から上がってきたものをそのまま上に投げるだけではなく、組織全体の観点から経営層の意図を翻訳して下に伝える役割を要望する。
矛盾の解消と創造を要望する
どちらをとるか難しい局面において、ORの発想ではなくANDの発想でどちらもとれる第三の案を頭を使ってひねり出すことを要求すること。これを通じて、人や組織のレベルを上げる。
前線から撤退し後方支援へ転換する
営業に同行したり、現場で細かな指示を与えているといつまでも部下が育たないので、徐々に現場から離れて部下が自分で考え動けるようにしていくこと。それで何をするかというと、前線にいる部下が働きやすいように支援する、環境や制度を整える(例:業務フローの標準化、採用、理念や人事制度の運用、商品開発・改善)。
その他にもたくさん分かりやすい言葉があった。言葉選びって大事やなーと改めて感じた。
■「パワーバランス」と「追い越し禁止」が「理念」への渇望を生む
ビジョナリーカンパニー構築のステップのところで特に参考になったのが、「「パワーバランス」と「追い越し禁止」が「理念」への渇望を生む」という言葉。
これはどういうことかというと、「追い越し禁止」を徹底すると、それまで社長に何でもかんでも判断を求めれば決まっていたことが、リーダーたちが自分自身での判断することが必要になってくる。
その時に、リーダーたちは、
「こういう場面ではどう判断すればいいのか?」
「社長はなぜこれまでこの方針をとって来たのだろう?」
といった疑問を持ち、「判断の軸」「意思決定の基準」が求めるようになる。
この「判断の軸」「意思決定の基準」がすなわち「理念」であるということ。
これに関連して、著者は「喉が渇いていない馬に水を飲ませることはできない」(p47)という言葉を紹介している。
判断基準が必要ない(=喉が渇いていない)状態で理念についてくどくど述べてもうまくいかない。しかし、追い越し禁止で自分から判断基準を求める(=喉が渇く)ようになると、強烈に求め始める。
著者は次のように述べている。
「リーダーや現場が「理念」を求めていないのにトップダウンで「理念」を押しつけても、彼らはそれを受け入れてはくれません。そうではなく、彼らに先に権限委譲を行う。トップ自身がカリスマ経営を卒業し、自立自走することをリーダーたちに求める。
こうした「喉を渇かす」動きを先行させることで、「理念」に対する渇望を促し、その後に「理念」を定め経営の根幹に置く。このステップこそが重要なのです」(p47)
つまり、理念の浸透を一生懸命やることは大事だとしても、ステップとしては喉を渇かす=権限委譲をして判断を求めることを先にやることが重要。そうすると、理念が自然に求められ浸透していくという考え方。
全部が全部きれいにこういうふうにうまくいくわけやないとは思うけど、考え方としては参考になるなーと思った。
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