2012年11月4日日曜日

分かりやすくNLPメソッドの概要を学べる「一番やさしくNLPのことがわかる本」

13のNLPメソッドを紹介している本。それぞれのメソッドについて、各章ごとに最初にストーリー仕立てで語られていて、そのあと解説といった構成で具体的な場面をイメージしやすい内容になっている。

また、イラストも適宜入っていたり、マンガも各章に1ページ丸々使って入っているので、読みやすい。マンガの内容も、よくある単なる解説のためのものではなく、ユーモラスな内容になっていて、クスッと笑えるような内容。「一番やさしく」とうたっているだけのことはあるなーと思った。

解説のところは、具体的な手法というよりは考え方の説明が中心なので、実際に使えるようになるにはどのみち講習を受けたりした方が良さそうやけど、NLPに興味を持った時に、NLPにはどういう手法があってそれぞれどういうものか概要をつかむのには良い本やと思う。


■紹介されている13のNLPメソッド
本書で扱われている13のNLPメソッドは次のとおり。1章1章独立しているので、興味あるところだけ拾い読みでも良いかも。

1. ラポール
「ラポール」とは、「相手に安心感をもっておたがいを受け入れ、十分な信頼関係が築かれた状態」(p24)のこと。ラポールがとれていると、相手とコミュニケーションがとりやすくなる。

ラポールをとるために、相手の話や動きに合わせる「ペーシング」という手法を紹介。相手の言ったことをそのまま返す「バックトラック」(オウム返し)や、「呼吸合わせ」など、結構具体的にやりやすそう。

2. キャリブレーション
相手の動作や姿勢をじっくり観察することで、相手がどのようなことを考えたり感じたりしているかを読み取る方法。具体的には、相手の目線や表情などを「見る」、声のトーンや話すスピードなどを「聞く」、呼吸や体温を「感じる」といった3つの感覚を活用。

特に、視線の方向について、過去のイメージを思い浮かべている時は左上を見、未来のことや新しいことをイメージする場合は右上を見るというあたりは興味深い。

3. サブモダリティの変換
苦手なものや恐怖を感じているものや人の属性を変化させることで克服していく。例えば、苦手な人について、イメージの中で声のトーンを親しみやすいものに変えてみたり大きさを変えてみたり色を白黒に変えてみたりすることで印象を変化させることで、苦手じゃないイメージを自分の中に刷り込む手法。

4. アンカリング
「「外的刺激」と「反応(感情)」を意識的に結びつけ、役立たせるためのいい状態にすること」(p62)。

具体的に言うと、わくわくした楽しい気分やゆったりとリラックスしている気分を感じている場面を思い浮かべ、状態が最高潮に達する一歩手前で、腕を触ったり頬を触ったりなどの特定の刺激を自分に与えて、良いイメージとその刺激を結びつける。

その後、そのイメージを思い浮かべたい時に、結びつけた刺激を与えてイメージを呼び出せるようにする手法。

5. タイムライン
過去、現在、未来の時間軸を1つの線上にイメージして、その中を自由に移動したり、全体を見渡したりすることで、過去の良いイメージをとりもどしたり、逆に悪いイメージを書き換えたりする手法。

未来に対して良いイメージを持っていれば、そこからさかのぼって未来の自分から元気づけてもらうなど、時間軸をうまく活用して良いイメージを保つ。

6. ポジション・チェンジ
3つの知覚ポジション、自分の視点、相手の視点、第三者の視点を活用して視点を変える方法。椅子などを活用して、3つの椅子を3つの視点それぞれと関連付けて、実際に座ったり移動したりしながらそれぞれの視点になりきって考え、自分がとるべき行動などを考える。

特に、「ディズニー・ストラテジー」という、ウォルト・ディズニーの思考や戦略を分析して作られた考え方があり、その場合は「夢想家」(ドリーマー)、「現実主義者」(リアリスト)、「批評家」(クリティック)という3つの視点で考える。

7. リフレーミング
ある出来事などについて「違った見方」をする方法。いわゆる、ものは言いよう考えようというもの。「内容(意味)のリフレーミング」と「状況のリフレーミング」の2つがある。

内容(意味)のリフレーミングは、状況はそのままで、対象が持つ意味をとらえなおす考え方。例えば、「理屈っぽい」を「ものごとを理論立てて考えられる」などと言い直す。

状況のリフレーミングは、意味はそのままで状況が変わればメリットになるととらえなおす考え方。例えば、「甘いものがやめられない」という場合に対して「スイーツ食べ歩き本が書ける」というように、その行動が活きる場面や状況を見つける。

8. 望ましい状態を引き出すための質問
脳の特徴を踏まえた質問を相手に対してすることで、目標達成につながるように促す質問の手法。具体的には、相手が得たい目標を五感に訴えるような形で設定する。

例えば、単に「やせたい」ではなく「桜の咲く3月までに8キロの減量を目指す。新しいスーツを身につけて彼女と上野公園を散策しながらおしゃべりする」(p121)など、視覚、、聴覚、身体感覚に訴えるもの。その上で、肯定的にシンプルに述べること、相手を主役にすることなどを意識して質問する。

9. メタモデル
人は何かを伝えるときに言葉を使うが、体験を言葉に変換する際に情報の一部を省略したり、歪曲したり、特定の例を一般化したりしていることがよくある。

そうした説明に対して、省略・歪曲・一般化された部分を明確にするような質問をすることでミスコミュニケーションを防ぎ、特定の言葉や考え方にとらわれないようにする手法。

10. ミルトンモデル
上記のメタモデルの逆の手法。自分があえて曖昧な言い方をすることで、相手の想像力を刺激して可能性を広げた考え方を促す手法。

いろいろと手法があるが、例えば、「あなたは日々、努力しています」(p148)など、具体的に何をやっているかあえて不明確にして相手が自分なりの解釈をするようにする。

その他、埋め込まれた命令や埋め込まれた質問などは特に役立ちそう。埋め込まれた命令というのは、例えば「勉強しなさい」といった形で直接的な命令にしないで、「あなたが勉強すると学びが深まって向上心が高まるのですよ」という形で長い文章の中に入れ込んで命令している感じをなくす手法。

埋め込まれた質問も同様に、文章中に質問を埋め込んで詰問している感じを柔らかくする。例:「私の言いたいことがわかるかなぁ、と思っているんです」(p151)

11. ビジュアル・スカッシュ
二者択一で迷った時に、新しい見方や考え方を導き出す手法。具体的には、片方のイメージをどちらかの手の上に乗せて、もう片方のイメージを別の方の手の上に乗せた後、両方の手のひらをゆっくりと合わせて新しいイメージを導き出す。

12. メタファ
要するに比喩。「物事を伝えたり話したりする場合に、わかりやすく例え話を挿入する、ということ」(p173)。例え話だけでなく、寓話やことわざ、ストーリーテリングなども含まれる。

13. 恐怖症の解消
過去に恐怖を感じた体験や、嫌な思いをした体験を、「まるで映画でも見るように、第三者の体験として、自分とは切り離して記憶しなおすテクニック」(p186)。

具体的には、映画館にいる自分をイメージして、スクリーンに対象の体験を映写し、まずその体験を1階の客席で見ている自分をイメージし、さらにそこからも抜けだして2階の映写室から見ている自分を想像する。そうすることで、体験から自分を二重に分離して、嫌な思い出やトラウマを小さく弱める。


以上が本書で紹介されている手法。それとは別に、冒頭の方に書いてあったNLPの前提としての考え方にも良い言葉が結構あった。

■NLPの前提

  • 「現実の体験の内容を変えるより、現実を体験するプロセスを変化させる能力のほうが、価値があることが多いのです」(p12)
  • 「コミュニケーションの意味は、受け取る反応にあります」(p12)
  • 「周りの環境や自分たちの行動に対して・人間が識別できることはすべて、五感(視覚・聴覚・喚覚・味覚・触覚)を通して、有効に表わすことができます」(p12)
  • 「人が変化を起こすために必要なリソース(資源)は、すでにその人の中にあります」(p14)
    何かをやりたい、こういうふうになってみたいと思った時に必要なものはすべての人に備わっているという考え方。
  • 「地図は領土ではありません」
    「地図は現実の領土とは異なるので、実は自分の思っているよりはるかに可能性があるということになります。
     NLPによって、他の人の地図を理解する助けになったり、自分の地図をより豊かなものへと変えることが可能になるのです。」(p14)
  • 「人の肯定的な価値は一定です。その一方で、その人の内側と(もしくは)外側の反応が、価値があり適切かどうかが問われるのです」(p14)
  • 「すべての行動には、それを起こさせる肯定的な意図があります。また、すべての行動にはその価値を生かせる状況があります」(p15)
    「あらゆる行動には意味がある、というのがNLPの考え方」(p15)
     例:「風邪をひいて熱が出た」
     →無理をせずにゆっくり体を休ませるという意図に気づく
     →寝込んでいるうちに、今まで思いつかなかった新しいアイデアを思いつく
  • 「フィードバックVS失敗-与えられた仕事や状況に対して、それが望んだ結末であってもなくても、あらゆる結果と行動は、成功なのです」(p15)
    「すべてのことに失敗はなく、それはフィードバックであり、柔軟に対応すればいい」(p130)

読んですぐに活用できるかというと結構難しいけど、少なくともこういう考え方があるということを知るだけで、嫌なことがあったりした時も前向きに捉えるように思考を変える手がかりを得られると思う。そういう意味では読んでおくと良い一冊やなーと思った。

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