2012年11月7日水曜日

「新版 ココまでできる経理の合理化」で経理作業から解放される?

新版 ココまでできる経理の合理化 
何百社という会社の経理部門を見てきた著者による経理作業の合理化・効率化に関する本。「マンガで入門! 会社の数字が面白いほどわかる本」で紹介されていたので読んでみた。

本の冒頭に
『日本の中小企業を経理作業から解放します!』
と掲げている。

中身は実践的で役立ちそうな内容。

経理作業の「常識」とされるものを、いかに止めたり効率化したりして、経理の生産性を上げるか、その具体的な考え方や手段が紹介されている。


■経理・管理業務は合理化しよう
冒頭に、以下の3つの願いが書かれていて、著者の考え方はここに集約されている。

「①どうか、もうこれ以上、管理部門にお金と時間をかけないでください。

 ②利益を生まない管理部門を合理化し、その分をお客様のために使ってください。

 ③あなたの本当にやりたいことに専念して、成功を勝ち取ってください。」(p5)

本を読み始める前は、経理ってある程度決まった作業なので、合理化すると言っても限界があるんじゃないかとも思っていたけど、それはやはり思い込みやったと気付かされた。

著者自身も「経理なんてどこの会社も同じ」と思っていたところ、やり方を変えたら作業時間と人件費が半分以下になった事例を通して合理化を推進するようになったとのこと。

著者が持っていた疑問としては以下のような点が挙げられている。

  • 会社は、なぜ1円も儲からない経理作業に、ここまでの時間とコストをかけるのか?
  • 経理の仕事は、なぜこんなに細かく丁寧にやらなければならないのか?
  • 経理社員は、なぜ大切な資金計画や予算管理の仕事にもっと時間をかけないのか?
  • パソコン会計を導入したのに、なぜ人は減らないのか?
  • 便利なやり方を知っているのに、なぜ昔ながらのやり方を変えようとしないのか?
こうした疑問を持った人は読むと良いかもです。


■経理の掟や常識にとらわれないで合理化しよう
ただ、経理部門に勤務する人たちが悪いわけではなく、むしろ、そういった人たちはマジメな人が多くて素直でいい人ばかり。

ではなぜ合理化できなかったかというと…
「昔ながらの経理のやり方を変えていいということを誰も教えてくれなかっただけ」(p7)

というのが著者の考え。具体的には次のようなもの。

【常識①】立替経費は小口現金で精算する
【常識②】伝票・帳簿は毎日つける
【常識③】簿記の知識のある経理社員は絶対に必要である
(p8)

こういった常識を一回ゼロベースで考えましょうという主張。これらにとらわれなくなると、合理化の余地がたくさん出てくる。

そこで、101ものポイントが1つずつ紹介されている。考え方の部分のポイントも多いけど、具体的に行動の変化につながるポイントも多い。

例えば、経費精算について…

  • 経費精算のルールを変更して1ヶ月に1回にする
  • 立替経費は経費精算申請書で集計する
  • 科目は営業マンに入れてもらう
  • 立替経費は給与と一緒に振込にする
領収書や請求書の扱いについて…

  • 領収書は基本誰も見ないので見やすく貼る必要はない(記録として残ってさえいればOK)
  • 請求書を業者別や内容別に分類しない
  • 見ない書類は事務所に置かず倉庫に置こう
会計ソフトの使い方について…

  • 取引をパターン化しよう
  • 慣れていてもパターン入力を活用しよう
  • 複合仕訳や年1回の取引も登録してパソコンに教え込もう
こんな感じで、明日からでも取り組めそうな具体的な内容になっている。

そして、合理化や効率化した後は経理社員はどうすべきかというところまで書かれていたり、会社規模によっての経理部の役割の違いも書かれていたりと、バランスが良いというか、目配りが届いている内容やなーと思った。


自分は直接経理の仕事をやるわけではないけど、それでも考え方の面などは参考になった。経理の人が読むともっと直接的に役に立つんじゃないかなーと思った一冊やった。

あと、経理・会計だけにからむ話ではないけど、以下の話は参考になった。


■仕事の速い人、仕事の遅い人
「同じ作業をやっても、仕事の速い人と遅い人がいます。
 事務所のスタッフに同じ仕事をやってもらい、作業時間を細かく集計して、どうして差が出るのかを調ベてみました。

 その結果、仕事の遅い人は、「どうしていいのかわからずに悩んでいる時間が長い」ということがわかりました。

 実際に作業している時間(手を動かしている時間)は、仕事が速い人も遅い人もそれほど差がありませんでした。字を書く時間やデータ入力操作時問は、思っていたほど差がありません。もちろんブラインドタッチの人とキーボード操作が慣れていない人とでは差がありますが、それ以上に作業を停止して悩んでいる時間の長さに驚かされました。

 人間の能力にはそれほど差はありませんので、仕事の遅い人でも遠くできるように作業の依頼の仕方を工夫するといいでしょう。」(p160)

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