2012年11月15日木曜日

マネジメントの参考になりそうな心理学のコンセプトをざっと学べる「すごい上司 部下が自ら動き出す心理学」


すごい上司 なぜ人は言われたこともできないのか 部下が自ら動き出す心理学 (PRESIDENT BOOKS)

プレジデント誌の人気連載「職場の心理学」をまとめた本。連載は、本を出した時点で130回を超えているけど、その中でも反響の大きかった28本を厳選して集めたもの。

元が雑誌の連載ということで比較的読みやすい。その分浅いけど、マネジメントに役立ちそうな心理学的なコンセプトをざっと学ぶにはちょうどいいかも。

特に、上司が部下をマネジメントする際に役立つ考え方が紹介されている。特にやる気の引き出し方が中心。


■やる気とアウトプット
モチベーション、やる気とアウトプットとの関係について、本の冒頭に以下の3つの言葉が紹介されている。

「有意義な仕事をしているという自覚のある労働者がつくった製品は、必然的に高品質になる」
―ペール・ジレンハマー(ボルボ元会長)

「生産性とは機械や道具や手法の問題ではなく、姿勢の問題である。換言するならば、生産性を決定するものは、働く人たちの動機である」
―ピーター・ドラッカー(経営学者)

「部下に丁寧に接することには、コストはまったくかからない。しかし、その見返りは、仕事への忠誠心と情熱を高める点で限りなく大きい」
―ジム・パーカー(サウスウエスト航空元CEO)
(p2)


■作戦を語る
本の中で印象に残ったのが、元気のいいマネジャーの共通の特徴の話。その特徴はというと…

「一言で言えば、それはビジョンを描き、それをもって部下を鼓舞できるマネジャー」(p206)

言い換えると、「作戦を語れるマネジャー」 であるということ。思いつきの作戦だったり、上から言われたことをそのまま下に流しているだけの作戦でもない。

「儲けにつながる、あるいは成果につながるためのイメージが湧いて、関係者をわくわくさせることができる、そのような作戦」(p206)でなければならないということ。

そのためには、その目標を自分のものとして腹落ちさせた上で、さらに部下をはじめ周りのひとを巻き込んでいけるように説得力があり、イメージがわくものにしていかなければならない。

そして、そのレベルになると、反対意見が出てくるようになるけど、それはある意味当然ということ。

例えば売上を上げようとか、総論レベルの目標であれば誰も反対しようがないけど、それをどうやって達成していくかという具体のレベルになるといろんな意見が出てくる。

しかし、そのレベルになってはじめて実効性が出るレベルになっていて、はじめて「作戦」と呼べる。

「提唱したマネジャーの思いや意図の入った具体的なイメージが加わると、さきほどの総論のときには聞こえてこない賛成意見あるいは反対意見が出てくることになる。これは、具体的なイメージが湧くにつれ、部下である関係者の損得や好き嫌いがはっきり見えてくるからである。実は、一部から反対意見が出るくらいまで、具体的な説明を添えなければ、「顧客を大切にする企業になる」とか、「従業員にとっても魅力ある企業になる」などの至極当然なキャッチフレーズだけでは、他者のイメージをかきたて、その実現に加わりたいと思わせる(ひらめきやときめきを与える)ような、真の意味での作戦にはなりえないのである」(p209)

このへんの考え方は参考になった。


■部下を知るだけでなく、自分を知ることも重要
あと、よく言われることでもあるけど、部下のタイプ別に対応方法を変えることの重要性が述べられている。

例えば計、画型の部下と柔軟型の部下がいる。計画型の部下は、目標や手順を明確に示すことで仕事の満足感が高まる。

一方、柔軟型の部下は自律性や創造性に関心があるので、あまり細かな手順等をしばると逆に満足感が下がる。こうした形でタイプに応じた対応をすることが重要。

ただ、一方で、部下のタイプを知るだけでなく、自分を知ることも重要であると述べられている。

「あなたは、部下を動かさなくてはならないときに、この部下はこんな性格だから、あるいはあの部下はこんなところがあるから、と各々の部下の特性や性格を考え、それに応じてコミュニケーションを取っているのではないだろうか。もちろんそれは有能な上司として必要なことなのだが、さらに大事なことは、自分自身がどんな特性を持つ上司であるかを知ることである。
 自分の弱みは何か、強みは何か、どんな心理特性や行動特性を持っているのかを知り、それが部下の心にどのように映っているかを把握しておくことが、実は最も大切なのである。部下の心に映る自分を変えていくことによって、部下をも変えていくことができる。ピーター・ドラッカーは、自分自身をマネジメントできない人は他人をマネジメントすることはできない、と言っている。リーダーは、まずは己をマネジメントしなければならないのである。」(p123)

確かにそれはそうやなーと思った。自分自身が何に関心があり、何を是とし何を否とするか明確にしておかんと、場当たり的な対応になって信頼も失われてしまうやろうし。よくいう「ブレない」ってことにもつながる話かもなー。

このあたりの考え方のとっかかりになる一冊やった。

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